- 2021年02月02日22:27
乃公出でんずんばとは、俺がやらずに誰がやるという意味である。渋沢栄一は、言わずと知れた日本資本主義の父であり、大河ドラマや新紙幣に採用が決まるなど、脚光を浴びている人物である。彼は幕末から明治という変革期に多くの企業を設立・育成し産業を興した。それらの企業の多くが日本経済をけん引し、今なお基幹産業として存続していることは驚きですらある。本書では、幼少期から丹念においながら後に論語と算盤として知られる経営哲学の境地を深めていく様子を多くのエピソードで紡いでいく。一橋家出仕の若き時代に殖産興業で業績を残した話など、後の渋沢を彷彿とさせるものであり読み進むにつれぐいぐい引き込まれていった。400ページを超す大作ながら文章も読みやすく、読み応えも十分である。渋沢の負の側面も描いており、1人の人間としての深みを感じた。渋沢という人間を知るには最適の本。時あたかも江戸時代末期のように内憂外患、閉塞感に悩まされる今まさに読むべき本と言えよう。
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